
BtoBマーケティングの基本戦略と顧客理解の重要性
BtoB(企業間取引)マーケティングは、製品やサービスを法人顧客に届けるための戦略であり、近年その重要性はますます高まっています。特に、DXの加速や営業チャネルの変化を背景に、「売れる仕組み」をマーケティングの力で構築したいという企業が増えています。
本記事では、BtoBマーケティングにこれから取り組む担当者や、戦略を見直したい中小企業の責任者に向けて、「基本戦略の考え方」と「顧客理解の重要性」について解説します。STP分析やカスタマージャーニーなどの基本フレームに加え、成果につながる実践的な施策やKPI設計のポイントもご紹介します。
- 目次
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BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いを理解する
BtoBマーケティングの定義
BtoBマーケティングとは、企業や組織などの法人顧客を対象に、製品やサービスの認知拡大・リード獲得・商談化・受注といった一連の購買プロセスを設計・最適化する取り組みです。商材は高価格かつ導入までの意思決定に時間がかかる傾向があり、マーケティングの役割は「ニーズの顕在化から商談化までをサポートすること」にあります。
BtoBとBtoCマーケティングの違いとは
項目 | BtoB | BtoC |
顧客 | 法人・担当者 | 個人 |
購買単価 | 高い | 比較的安価 |
購買までの期間 | 数週間〜数ヶ月 | 数分〜数日 |
決裁関与者 | 複数(上司・経理など) | 基本1人 |
購買判断基準 | 論理的・ROI重視 | 感情的・衝動的 |
このように、BtoBでは「複数の関与者による合理的な判断」が行われるため、営業部門だけでなく、マーケティング部門が情報提供やリードナーチャリングで購買を後押しする必要があります。
なぜ今、BtoBマーケティングが注目されているのか
・従来の訪問営業や電話営業が機能しにくくなった
・Web検索・比較サイト経由での検討が主流に
・MA(マーケティングオートメーション)やCRMの導入が加速
・「マーケ×営業の一体化」で効率的な商談創出が求められている
これらの理由から、BtoBマーケティングは“あると便利”ではなく、“やらなければ機会損失が起こる”時代に入っています。
なぜ顧客理解が重要なのか?
BtoBマーケティングでは「誰に、何を、どう伝えるか」を徹底的に可視化する必要があります。法人の購買は合理的な一方、意思決定のプロセスが複雑なため、顧客の行動・感情・背景を深く理解することが成功のカギになります。
BtoB商材の購買行動の特徴
- 課題認識から導入決定までに3ヶ月以上かかる場合もある
- 調査・比較・社内稟議といったステップが多い
- 決裁関与者(決裁者、現場担当者、情シスなど)が複数存在
顧客理解が不足していると…
- 興味のない層に広告を出してしまう
- 問題意識がない人に営業して反応が悪い
- リードナーチャリングが一貫性を欠く
顧客理解が成功に与える影響
- 精度の高いペルソナ設計によって、CVR(コンバージョン率)が向上
- 各ステージに合わせたコンテンツ提供により、リードの質が改善
- 営業部門との連携がスムーズになり、商談化率がアップ
BtoBマーケティング戦略の基本フレームワーク
戦略設計の出発点は、顧客視点で「誰にどんな価値を提供するか」を明確にすることです。そのためには以下のフレームワークが有効です。
STP分析
- S(セグメンテーション):業種・企業規模・導入目的などで顧客を分類
- T(ターゲティング):商材と相性がよく、リーチ可能性の高い層を選定
- P(ポジショニング):他社との違いを明確にし、価値訴求を構築
ファネル思考(TOFU/MOFU/BOFU)
フェーズ | 内容 | 施策例 |
TOFU | 認知・興味 | オウンドメディア、SNS広告、展示会 |
MOFU | 検討・比較 | ホワイトペーパー、事例紹介、ウェビナー |
BOFU | 意思決定 | 無料トライアル、導入支援資料、営業訪問 |
ABM(アカウントベースドマーケティング)
- 重要顧客(特定企業群)に対し、専用のメッセージや施策を展開
- 営業・マーケ連携が強固な企業で採用が進む
カスタマージャーニーとペルソナ設計の進め方
BtoB商材の購入には「気づき → 検討 → 比較 → 稟議 → 意思決定」といった段階的な流れがあります。この流れをカスタマージャーニーとして可視化することで、どのタイミングでどんな情報が必要かが明確になります。
ジャーニー設計のステップ
- ペルソナの設定(業種、役職、課題、情報収集手段など)
- 購買プロセスの洗い出し
- 各フェーズでの疑問・障壁・必要情報を整理
- フェーズごとに適したコンテンツ・施策を配置
ペルソナ設計のポイント
- 実際の顧客インタビューや営業ヒアリングから作成
- 「導入の決裁者」と「使う人(現場)」を分けて考える
- ペルソナごとにジャーニーを設計すると効果的
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BtoBで効果的なマーケティング施策とは?
施策は「どのフェーズの課題を解決するか」を明確にしたうえで選定する必要があります。
ホワイトペーパー/DL資料
- 課題解決型の内容にすることでリード獲得しやすい
- フォーム設置→MAでナーチャリングへと繋げる
展示会/ウェビナー
- 対面での接点獲得や深い情報提供が可能
- 名刺データを活用してMA連携、シナリオ配信が有効
SEO・オウンドメディア
- 潜在層の流入を促進し、中長期での資産になる
- カスタマージャーニーに応じた記事設計が鍵
営業部門とどう連携するか?
マーケティング部門が生成したリードが、営業部門に正しく引き継がれなければ受注にはつながりません。うまく営業部門に引継ぎ、受注に綱(月)ためには下記のような方法があげられます。
- MA/CRM/SFAなどのツールで情報共有を自動化
- 定期的な営業との振り返りで“質の高いリード”を定義
- MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)の明確化がカギ
成果を出すためのKPI設定と運用体制
BtoBでは、リード数や商談数、受注率などの「フェーズ別KPI」が求められます。
フェーズ別KPIの例は下記をご参照ください。
フェーズ | KPI例 |
リード獲得 | DL数、問い合わせ数、セッション数 |
ナーチャリング | メール開封率、セミナー参加率 |
商談化 | 営業訪問数、商談化率 |
受注 | 成約率、LTV、CAC |
また上記に加え、PDCAサイクルを回すために、月次レポートや部門横断ミーティングも欠かせません。
よくある失敗と成功のコツ
顧客理解が不十分なあまり、施策を行っても思ったような結果が出ないことがあります。
下記の失敗例を参考に、施策が失敗に終わらないようにしっかりと顧客の課題を理解し、各顧客にあった支援をすることが大切です。
失敗例
- ターゲットが曖昧で、すべての人に刺さらない
- 施策が単発で、購買プロセスのどこを支援しているのか不明
- マーケと営業が分断され、リードが放置される
成功企業の共通点
- 顧客理解に基づいた一貫した戦略設計
- MAやCRMを駆使したデータ活用
- 営業と協力して受注までのシナリオを設計
まとめ
BtoBマーケティングで成果を出すには、単に広告を出したり展示会に参加したりするだけでは不十分です。ターゲット顧客を深く理解し、その購買プロセスに寄り添った情報提供や関係構築が重要となります。
基本戦略を押さえたうえで、顧客の強みやニーズに最適化した施策を設計することが大切です。まずはペルソナとジャーニーを可視化するところから、マーケティングの第一歩を踏み出しましょう。
PixPotでは、まずクライアントとのヒアリングを通して、各社に適格なマーケティング支援をご提供しております。
明確な課題がわからない状況でも、なんとなくぼんやりとしたイメージがある状況でも構いません。BtoBマーケティングを検討してる場合はお気軽にお問い合わせください。
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